映画にもなったので、知ってる方も多いでしょう。奇妙な境遇の高校生の「君」と、どこにでもいる高校生の「僕」の物語。周りに対して斜に構えている「僕」に、なんとなく自分を重ねてしまいました。「僕」が日常から読書に逃げ込んでいたのに対して、僕は数学の問題集に逃げ込んでいたのが違いますが。
周りを遮断することで、自己を成立させることができると信じている「僕」は、ある時「君」に出会ってしまいます。ずけずけと「僕」の中に踏み込んでくる「君」に対して、「僕」は違和感や畏怖を感じますが、「君」はそんなことはお構いなし。秘密を共有した二人は、その秘密を軸にお互いを溶け合わせていきます。
無垢で幸せな物語です。遠い記憶を手繰り寄せて、その暖かい記憶に浸る。何にでもなれるからこそ、その時点では何者でもない高校生の頃を、優しく思い出させてくれる本です。
私は、原作、実写版、アニメ版だと、原作が一番面白かったですね。
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