私は、現代音楽大好きという変態なわけです。とはいえ、最近は新しい音楽を追いきれてません。そんなオールド現代音楽ファンの私が、とりわけ好きなのが武満徹。
いわゆる「武満トーン」と言われる、ちょっと聴けばすぐ武満とわかる独特な曲調。そして、やはり日本人にしか書けないだろうなあ、と思っちゃう作風。
この作品は、ニューヨーク・フィル・ハーモニックの創立125周年記念コンサートのためにバーンスタインから委嘱されて、小澤征爾の指揮で初演されました。
ここから日本の武満は世界の武満になっていくんですが、面白いことに、世界の武満になっていくにつれて、どんどんわかりやすい音楽を書くようになっていきます。
まあ、その武満さんも好きなんですが。
武満初心者の人は、晩年の作品からさかのぼって聴いた方がいいかもしれません。「トゥリー・ライン」とか「系図」とかは、聴きやすくて、しかも武満でしかない名曲です。
そして、「ノヴェンバー・ステップス」や「弦楽のためのレクイエム」までたどり着いた時に、武満さんの真価を理解して愕然とするでしょう。
全ては武満の手のひらから未だ出てないんではないか、と。
ディスクは、まず初演者の小澤征爾の演奏。「弦楽のためのレクイエム」と、私の好きな「地平線のドーリア」もカップリングされてます。なかなかお値打ち。
次は同じ小澤征爾の、サイトウキネンオーケストラとの新しめの録音。こちらの方が落ち着いた演奏です。円熟というやつですかね。
こちらは若杉弘と東京都交響楽団。小澤征爾と比べると端正でスマートな武満です。