「日本SF大賞受賞作」に惹かれて購入。
小学四年生のアオヤマ君の、ほのぼのとした日常の中に、突然不思議な現象が起こり、そして避けようのない重大な問題が横たわるようになる。しかし、いくら重大な問題でも、アオヤマ君にとっては、クラスにいじめっこがいるとか、街の川の源泉はどうなっているんだろうとかと、問題としては同列だ。さすが小学生、世界が狭い(笑)。そしてアオヤマ君が問題のまわりをうろうろするだけで(アオヤマ君はきわめてマジメなんだけど)物語は終焉を迎えてしまう。
うーん、この物語世界、なんか既視感がある。収束しないメタファー、価値の転倒、トリックスターの存在。
もちろん、アオヤマ君と友達やお姉さんたちの紡ぐ物語を望郷の思いで読むこともできるけど、かなり意識的に設計された物語だとも思われる。「ペンギンは何かの意味をまとっているんだろうか」と考えた途端に、作者の仕掛けたパラドックスに迷いこんでしまう。ペンギンはペンギンでしかない。
夏目漱石、大江健三郎、村上春樹と続く系譜にある一冊。
アニメにもなってますね。
マンガにも。
あと、こんなの見つけました。かわいい。