面白かった。相対性理論から量子力学、超弦理論までを平易に解説してくれます。それぞれの理論の概要をつかんでおくとより理解が深まるんですが、難しい数式がいっさい出てこず、巧みな例えと随所に出てくる科学者のエピソードで一気に読めてしまいます。
そして著者もはじめに書いていますが、終わりがけにひとつの大きな仕掛けがあります。ネタバレ厳禁なのでこれ以上書きませんが、ミステリーのようなカタルシスです。
現代物理学は哲学的な部分もあるので(書内にプラトンやニーチェも登場します)、文系の方にもお薦めです。もしかしたら、余計な先入観が無いだけ想像力豊かに読めるかもしれません。
とにかく、こんな良質なエンタテインメントとして成立している科学解説書を読んだのは久しぶりです。是非ご一読を。
大栗博司
物理学者。理学博士(東京大学、1989年)。専門は素粒子論。
カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授およびウォルター・バーク理論物理学研究所所長。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の機構長。2016年から3年間、アスペン物理学センターの所長も務めた。