なかなかやんのきまぐれブログ

世の中は面白いことでいっぱいだ

重力とは何か 大栗博司 幻冬舎新書

投稿日:

面白かった。相対性理論から量子力学、超弦理論までを平易に解説してくれます。それぞれの理論の概要をつかんでおくとより理解が深まるんですが、難しい数式がいっさい出てこず、巧みな例えと随所に出てくる科学者のエピソードで一気に読めてしまいます。

そして著者もはじめに書いていますが、終わりがけにひとつの大きな仕掛けがあります。ネタバレ厳禁なのでこれ以上書きませんが、ミステリーのようなカタルシスです。

現代物理学は哲学的な部分もあるので(書内にプラトンやニーチェも登場します)、文系の方にもお薦めです。もしかしたら、余計な先入観が無いだけ想像力豊かに読めるかもしれません。

とにかく、こんな良質なエンタテインメントとして成立している科学解説書を読んだのは久しぶりです。是非ご一読を。

大栗博司
物理学者。理学博士(東京大学、1989年)。専門は素粒子論。
カリフォルニア工科大学フレッド・カブリ冠教授およびウォルター・バーク理論物理学研究所所長。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の機構長。2016年から3年間、アスペン物理学センターの所長も務めた。

-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ 文春文庫

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。 その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない〝父〟と暮らす。 血の繋がらない親の間をリレーされながらも、出逢う …

年齢学序説 博多大吉 幻冬舎よしもと文庫

博多大吉というと、本人もいささか自虐的に書いてるけど、お笑いの華丸大吉で児玉清のモノマネをするほうじゃないほう。正直言って地味で、あいづちをうってるだけという印象なんだけど、なんとなく人の良さが滲み出 …

蜜蜂と遠雷 恩田陸 幻冬舎文庫

いまや世界的な国際コンクールになった芳ヶ江国際ピアノコンクール。そこを舞台に天才たちがしのぎを削り、濃密な人間ドラマが繰り広げられる。 楽器業界に身を置いているので、とても面白く読んだ。出場者のひとり …

十二人の手紙 井上ひさし 中公文庫

手紙を題材にした、十二編の短編とエピローグによる短編集。 小説の中で手紙というのは便利なツールだ。なにせ、苦労なく時間や空間を飛躍させることができる。最近では、東野圭吾の「ナミヤ雑貨店の奇蹟」で手紙が …

小さいおうち 中島京子 文春文庫

タキおばあちゃんが、昭和初期に女中奉公に出てから終戦をむかえるまでを回想する形で物語は進む。東京郊外のモダンな一軒家の平井家には、真面目な旦那様、美しく若い奥様、一人息子のぼっちゃんが住んでいる。タキ …

ブログ村

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村←良かったらクリックしてください

ブログランキング


人気ブログランキング←良かったらクリックしてください

アマゾン検索