こりゃ面白い。実にあっけらかんと生と死を描いているので物語に深みは無いが、その分軽く読み進めれる。
短大を卒業するアズサは特にやりたいこともなく、流されるままに山の上の不思議な登天郵便局でアルバイトを始める。そこは現世と冥界の間に建つ郵便局だった。不思議な場所で不思議な人たちに囲まれた不思議な生活が始まる。
ファンタジー風ともミステリー風ともホラー風とも言えるので、ヘビーな読み手には食い足りないだろうが、こういうものはこれでいいんじゃないかな。とにかく多くのイメージが放り込んであって、それらが紙芝居のようにスピーディーに展開していく。それに翻弄され、翻弄される様をも楽しむというのが本書の読み方だろう。だから、「で、結局何が言いたかったの?」は無粋というもの。