なかなかやんのきまぐれブログ

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大栗先生の超弦理論入門 大栗博司 講談社ブルーバックス

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物質の基本は「ひも」でできている? 物理学者大栗博司が、最先端の超弦理論をやさしく解説する。

超弦理論は、宇宙物理学では今一番ホットな理論で、確か私の学生時代にはまだあまり聞いたことのない理論だったような気がする。あの頃は、重力と電磁力と強い力と弱い力を統一する統一場理論の決め手として、場の量子論が期待されていた。詳しい話は別に譲るが(詳しい話ができるほど理解していないとも言える)、場の量子論ではうまくいかないことが分かってきて、それを超えるものとして颯爽と登場してきたのが超弦理論だ。

科学雑誌ニュートンとかブルーバックスとかを読んでるだけだと、いかにも超弦理論が颯爽と登場してきたように思えたんだけど、超弦理論のもとになる弦理論からのいろいろを読んでみると「ひとつの理論を構築するのには、たくさんの人のひらめきと努力が必要なんだな」とわかる。

大栗博司の本は「重力とは何か」と本書を読んだけど、この人、本当に文章が上手い。たとえ話も絶妙なので、難しい話もスラスラと読める(理解できるとは違うけど)。で、最後に「時間も空間も幻想」というとんでもない結論に行き着く。

もしかすると、ニュートンの重力場の理論やアインシュタインの相対性理論のように、物理学のエポックメーキングとなる可能性を秘めている超弦理論。いち早く理解しておくと、飲み会でモテるかも(そんなことはない)。

超弦理論では、空間は九次元+時間で十次元の時空となっているんですが、実際の私たちの三次元+時間の四次元時空と比べると六次元の余分な次元があるんだそうです。で、その余剰次元の六次元がカラビ・ヤウ多様体になっている。なんのこっちゃなんですが、このカラビ・ヤウ多様体が実に美しい。

で、2016年にリニューアルした日本科学未来館に、3D作品「9次元からきた男」が常設されてるんですが、これが「呪怨」などの清水崇が監督、大栗博司が監修したもの。

これは見てみたい。

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